大判例

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東京地方裁判所 昭和42年(借チ)37号 決定

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

〔決定理由〕三、……本事件で調べた資料によれば、本件土地は、(1)国鉄浜松町駅と田町駅から西側にそれぞれ徒歩約一五分と約一〇分の距離(都電では芝園橋、金杉橋及び東京港口の各停留所より五〇〇米位)の場所にあり、表の大通りから公道を少し入つた北側八米公道、東側約三・六米の私道に接して存在しており、(2)本件借地契約締結後の昭和二五年に準工業地域に、昭和二六年に準防火地域に、昭和三九年に第五種容積地区に各指定されて現在に至つており、(3)本件借地契約締結当時は戦後間もなくの頃であり、本件土地の周囲はほとんど木造建物であつたが、現在では本件土地の面している八米道路をへだてた反対側(北側)は既にほとんど堅固な建物になつてきているし、本件土地の属する側は右に比較しやや遅れてはいるが、それでも近時は次第に堅固の建物の建築をみている。以上の各事実によれば本件土地については、現に借地権を設定するとすれば堅固な建物を所有するのが相当になつたというべきである。<中略>そして、本件土地は相手方たる寺院の所有地ではあるが、宗教法人法にいわゆる境内地以外の土地であると認められるし、更に本件土地は前記のように北側公道に面しているのであつて、仮にその地上に建築法規上最大限の堅固の建物を建築したとしても、周囲の日照を阻害することはうかがわれないのであり、その他本件土地の状況を考慮しても借地契約の目的を変更するに支障となるような事情が認められないのであるから、本件借地条件変更申立てはこれを認容すべきものと考えられる。<中略>

四、次に当事者間の利益の衡平を図るためのの相当の処分の要否について検討する。

(1) まず、財産上の給付についてみると、本事件で調べた資料によれば、(1)本件土地の賃料額は、当初は三、三平方米当り一ケ月七円であつたが、順次改訂され最近では昭和三八年四月に六〇円に、昭和四〇年一月に一〇〇円に、昭和四二年一月に一二〇円にとそれぞれ改められているのであつて、一般に非堅固の建物所有を目的とする土地の賃料としては右改訂の推移並びにその額はやや高いというべきであるが、本件土地の場合は、前認定の通り申立人がそれを営業用の車庫等に使用していることを考慮すると、格別高額であつたとはいえないと考えられるし、(2)本件借地契約の際及びその後現在に至るまでの間申立人側より相手方に対し財産上の給付がなされていないことが認められるし、(3)本件土地の使用目的が堅固の建物所有に変更されたのちは、申立人は本件土地上の前記会社名義の建物を取り壊しそこに鉄筋コンクリート造りのいわゆるマンションを建築する予定であることがうかがわれ、それにより少くとも今までよりは本件土地につきより高度の利用が可能となることが明らかである。鑑定意見は本件土地一平方米当りの更地価格を一三万円と評価しており、……その価格を尺度に前記諸事情並びに本件における一切の事情を総合して検討すると、本事件において申立人が相手方に給付すべき財産上の給付額は右本件土地の更地価格の約一一%にあたる二一二万七〇〇〇円が相当であると認める、よつて、申立人に右金額の支払を命ずることとする。

(2) 次に賃料についてみると、……前認定の如き本件土地の位置、環境、地形、及び鑑定意見が指摘する近隣の同類型借地の賃料額、その他本件における一切の事情を総合して判断し、三、三平方米当り一ケ月二〇〇円にするのが相当であると認める。(渋川 満)

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